カテゴリ:本の話( 34 )

「蒲生邸事件」 宮部みゆき:作 (文春文庫)

メッチャぶ厚くずっしり思い文庫です。
(東野圭吾の「白夜行」くらいかなって思って今調べてみたら、やはり「白夜行」はこの1.5倍ありました。(^^;)
予備校受験生の主人公がホテル火災に見舞われて、時間旅行者の男に助けられ昭和11年に連れて行かれる・・・っていうこの設定に最初はなかなかついていけなくて・・・
途中でお休みして「あかんべえ」を読んでしまいました。(笑)
で、「あかんべえ」がメチャメチャよかったので、やっぱり宮部みゆきにどっぷり浸かろうと思って再び昭和11年2月26日に戻っていきました。
時間旅行者なんて突拍子もない道具を使って、戦争前の人物や生活や街中を表現しようとしたのですね。それが小説家の能力ってものなんだなぁとビックリ仰天です。。。
感想をどう表現していいかわかんないので、解説を引用しますと・・・
「「蒲生邸事件」の真の主人公は青年ではなく、「歴史」である。歴史的事件の肌ざわりをたくみに示しながら、歴史とは何か、そして歴史を評価するとはどういうことかを、さりげなくこの小説は問うている。」・・・ふむふむ、そうです。
「宮部みゆきはこの「蒲生邸事件」というファンタジックな物語の中で、正当なことを正当に語っている。それは、過去を過去だという理由で差別せず、いまある歴史、いま流れて行く時間に責任をとるということである。」・・・ふむふむ、なるほど。
わたしの感想・・・この青年は最初なんだか煮え切らないウジウジしたパッとしない青年だったんですけど、蒲生邸の中で成長していったのかだんだん魅力が出てきました。
時間旅行から生還して、これまたうだつの上がらないお父さんに語ります。
「俺ね、過去を見てきたの。それで判ったんだ。過去は直したってしょうがないものだし、未来のことを考えて心配したって駄目なんだってことがね。なるようにしかならないんだから。だけど、だからこそ俺、ちゃんと生きようと思ってさ。言い訳なんかしなくていいようにさ。そのときそのとき、精一杯やろうってさ。・・・・(略)」
なんだかちょっと照れるようなセリフだけど、あの凄まじい時間旅行を体験した人だからこんなことを言っても許す。(^^)        よかった~度=♪♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2007-08-21 17:25 | 本の話

「あかんべえ」 ㊤㊦ 宮部みゆき:作 (新潮文庫)

お化けのお話なのに、なんでこんなに感動したんでしょう?って自分でもビックリするくらいにのめり込んでしまいました。
上巻の半分を過ぎた辺りから用事をするのも後回しにするくらいに読みふけりました。久々の感覚です。(^^)
お化けのお話・・・そうなんです。わたし、お化けとか霊とかいうものに全く興味がないし、ホラーもキライだし・・・
でもこのお話はただ登場人物にお化けさんが多いだけであって、人生や生き方やそんなことを感じながら読めるお話で、お化けのお話なのにいつの間にかふっと泣いてましたよ。。。(^^;
今、下巻の裏表紙を見たらこう書いてありました。「ファンタジーとミステリと人情味が絶妙に溶け込んだ感動の時代長編!」・・・まさにその通りでした。
主人公?のおりんちゃんが健気で真っ直ぐで・・・大好きになりました。(^^)
もともと宮部みゆきさんの作品はよく読んでいて、「火車」とか「理由」とか読むたびにスゴイって思ってたんですけど、
一方で江戸を舞台にしたお話の方は最近になって読み始めたんですけど、
なんでこの2つのジャンルがあるのかなぁって思ってたんですね。
でもコレを読んで、一見違うように見えるこの2つのジャンルがつながっているのがわかりました。                     よかった~度=♪♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2007-08-17 20:25 | 本の話

「ラッシュライフ」 伊坂幸太郎:作 (新潮文庫)

なんだかね、このお話を読んでいるうちに自分の頭は相当くたびれてきてるなぁと感じました。
裏表紙を読むと、「並走する4つの物語・・・」って書かれてあったんですけど、
そうなんです。それぞれの登場人物を中心としたお話が最初、細切れに出てきて、最後はアレとココが結びついてるんだ・・・みたいなパズルみたいになってるんですが。。。
それが全く覚えていられないのです。(^^;
あれっ、この人は前に出てきたけどどんな設定だったっけ・・・みたいに気になってまた後戻りしたり・・・
かなり頭の老化を感じました。トホホ・・・
なんかそんな感じで翻弄されたお話でした。うーーむ、サクサクは読めるんですけどね。(^^;                          よかった~度=♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2007-07-07 20:56 | 本の話

「はい、こちら国立天文台」 長沢工:作 (新潮文庫)

これは小説ではありません。なんて言えばいいんだろ。ノンフィクション?記録??(^^;
そう言えばノンフィクションやルポルタージュみたいなのばっかり読んでいる頃がありました。
いつからか小説のとりこになってしまったんですが。。。
で、何故この本を選んだんだろ、わたし。
天文学にも科学にも全く興味のないわたしが・・・(^^;
国立天文台に広報普及室ってのがあってそこの質問専用電話にかかってくる電話のお話らしく、ふ~~ん、どんな電話がかかってくるんだろ?っていう興味本位で読んでみました。
これが結構おもしろくて!
読み終えても作者の思い(たぶん)に反して、星や宇宙に興味がわいてきたってことはないんですが、(スミマセン)
でも電話を通して社会の一面が見えるような気がしました。
例えば今話題の「モンスターペアレンツ」だけでなく、天文台相手に不当な要求をする人もいるもんなんだぁとか。。。
どんな仕事でもそれを通していろんな人や出来事との出会いがあるもんなんですね。
理不尽な電話にヘキヘキすることもあれば、やりがいや幸せを感じる電話もある。
それにしてもこんな本に手を出したというのに、天文学の難しい説明の部分は全く頭に入ってこない。申し訳ないです。。。               よかった~度=♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2007-06-24 18:45 | 本の話

「重力ピエロ」 伊坂幸太郎:作 (新潮文庫)

チョッと常識離れした設定とかあったけど、とっても考えさせられるお話でした。
解説に、・・・本書は、スタイリッシュな小説であると同時に、そういう切なく哀しく、しかし力がむくむくと沸いてくるような兄弟小説、家族小説なのである。・・・これは、現代に生きる私たちの小説だ。
って書いてあったんですが、その通り!って思いました。
辛い過去を持っている家族の切なさや、だからこそ感性が研ぎ澄まされていってるように思える人たちが吐く言葉にドキッとすることがいっぱいでした。
寸暇を惜しんで・・・って感じでトリコになって読んでました。(^^)     
                                 よかった~度=♪♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2007-06-13 22:17 | 本の話

「陽気なギャングが地球を回す」 伊坂幸太郎:作 (祥伝社文庫)

最近全然おもしろいドラマがなく、今見てるのは「バンピ~ノ!」だけなんですね。
しかも関西地方では野球中継も全くおもしろくなく。。。(^^;
って、思ってたところにおもしろい本に出会えたラッキー!!
銀行強盗の4人組が主人公の話。悪人、悪党の話なんですが、全然不快なことがなく・・・かといって、もちろん善人の集まりでもないのですが、とっても軽快に楽しく読めるお話でした。
嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、体内時計を持つ女の4人なんですが、この4人以外の人たちもそれぞれに特徴的かつ印象に残る人たち。。。
この作者に描写してもらったら自分はどんな人物なんだろってふと思いましたね。
たぶん何の変哲もない特徴のない人物になるんでしょうけど、それはそれで存在価値を持って登場できるかも。
で、とにかく3~4日ほどチョッとしたスキを狙って読みたくなる本でした。なので、は5つにしますが、その後すぐ読み始めた同じ作者の「重力ピエロ」っていうのにグイグイいっちゃってまして・・・
コレに5つつけちゃったら後が困る?ってほどです。(^^;     
                                    よかった~度=♪♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2007-06-06 20:56 | 本の話

「あやし」 宮部みゆき:作 (角川文庫)

ついに本は私設図書館で借りることにしました。(^^;
そこは蔵書に偏りはありますが・・・宮部みゆきは豊富にあります。
宮部みゆきの現代モノっていうのかなぁ・・・それはコレまでにも結構読んでいたんですけど、江戸モノの方はたぶん初めてです。
この本は短編集でした。よく調べもせずに借りたわたしは、あっ短編なんだぁ。。。と、一瞬間違えたと思いました。どっちかというと長編が好きです。
でも今回短編集の良さを発見。っていうか、なんだか最近根気がなくなってるのかなぁ。
短編集のように一つ読んで、休憩して、また読んで。。。っていうのもなかなかいいやん♪って思いました。
これは表題どおり「あやし」いお話ばっかりで。。。怪奇小説みたいな感じ。
実はわたし、それも苦手なんです。怪談とかホラーとか。。。(^^;
でもよく考えて想像すればゾッとする恐ろしい話なんですけど、エグイことはなかったです。
なんかそんなこともアリかなって思うような感じがするのは舞台がまた江戸時代の江戸の町だからかもしれません。
小さい時分から奉公にあがったり、病気で早くに亡くなったり、貧しかったり一家離散だったりした時代にはこの世に思いを残しながら逝く人も多かったんだろうなって思います。
「火車」とか「理由」とかもゾクッとする怖さがありますよね。それと同じような空気を感じました。でも、こっちの方がストレートに怪談なんだけど、こっちの方が怖くない・・・それが不思議。                         よかった~度=♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2007-06-03 17:20 | 本の話

「永遠。」 村山由佳:作 (講談社文庫)

いやぁ~~~久しぶりの本の話です。
ぼつぼつ読んでるんですけど、書いてる場合じゃないか・・・って思っているうちに書きそびれてました。
確かずっと前のコメントで沖縄のお友だちに「村山由佳の永遠、読みました?」って書いてくれていたので、早く読まなきゃって思ってたのですね。
やっぱ本って読むだけでいいっちゅうもんではなく、置き場所もないのに買って貯めていきたい派なんです。わたし。。。そんな派閥があるかどうかはわかんないですけど。
だから収入もないくせに相変わらず本は買っていたのですが、ようやく身の上を思い知りブックオフ購入に切り替えました。
でもなかなか新しい本はそこでは見つからないし、例え貧しくなっても村山由佳だけは古本になるのを待たずにすぐに買いたい!みたいなわけのわからない気持ちがあります。
で、・・・前置きが長すぎますね。
この本を確か去年のクリスマス前に買いました。
自分へのクリスマスプレゼントだ~~い。419円使ってもバチは当たらんやろって思って(^^;
パラパラめくるとですね、とっても文字数が少なくて&ページ数も少なくて・・・
読めばもしかして1時間くらいで終わってしまうんじゃないかと。。。
だから読むのがもったいなくて、しばらくじーーーっと眺めてました。(アホです。)
で、1ヶ月くらい経ってから初めて読んで、やっぱり1時間ほどで終わったかなぁ。。。
でも短いお話なのに半分くらい過ぎた辺りからチャンと泣いてました。ポタポタ。
それからもう2・3回読んでます。さすがにもう涙の量は減りましたけど。(^^)
これは「卒業」という映画(あの昔のサイモンとガーファンクルのじゃないですよ)のサイドストーリーとして書かれたそうです。
ドラマチックな展開が書かれているわけではなく、ゆったりとした空気の中にやさしさと潔さと切なさと・・・そんな気持ちが描かれているお話でした。
お気に入りフレーズは・・・
「・・・・・・想いは、永遠なの。一度誰かとの間に芽生えたつながりは、ずーっと消えずに続いていく。たとえ、かたちを変えて、いつか思い出の奥にしまわれてしまったとしても、かつてそのひとと心をやり取りしたっていう記憶だけは、永遠に残るのよ。・・・・・・」
こんなセリフをしゃべらせるところがプロの仕事って感じがする。    
                                よかった~度=♪♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2007-06-02 17:27 | 本の話

「青空の街」 池波正太郎:作 集英社文庫

なんて素朴な題名なんでしょう?!ねっ。ホッとする題名ですよね。(^^)
実はこの本の前に「コンセント」っていう田口ランディさんの本を読み終えたんです。
読み終えたんだから、おもしろくなかったわけではないんですけど、あまりにも衝撃的な内容で読むと心身ともに疲れるというか・・・気分が深みにはまっていくというか・・・
ついに感想を書く気力もなくなるようなお話でした。。。
だから、この本には救われました。ホッとしました。
殺伐としたことやショッキングなことがあちこちで現実におきている現代だから、映画や小説はそれ以上のインパクトを与えようとどんどん衝撃的になって・・・
そんなのばっかりだと疲れちゃうんですよね。
だからと言って退屈なお話だとなんだかなぁ~~って思って最後まで読めない。。。
わがままな読者です。(^^;
で、このお話はブックオフで100円のご本ですから、(ですからかどうかはわかんないですけど)チョッと古い本です。文庫の初版が1980年ってなってました。
それ以上にゆっくりした時間の流れを感じました。
主人公は社長の息子で大学を出たんですが、自分にはどんな仕事が向いているんだろうかとゆっくりゆっくり考えてるんです。
そのゆっくりさが周りの大人には理解されにくいんですけど、でもどこか憎めなくて愛されてもいる。
たぶんゆっくりだけどいい加減なわけではなく誠実に迷っているからなんだとわたしは思う。
ジェットコースター話に疲れて古き良き昭和でくつろぎたい人におすすめ。
                                   よかった~度=♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2007-02-21 09:52 | 本の話

「疾走」㊤㊦ 重松清:作 (角川文庫)

なんだかねぇ、新年早々重たすぎるお話でした。
でも読みふけってしまいましたから、きっと心に迫ってくるお話だったと言えるんですけど。。。
おすすめできないポイントを先に言っときます。
一つ目は・・・性暴力のシーンが多すぎて、このストーリーには必要なんでしょうけど、そういうのって「コレよかったよ。」って人にすすめにくいです。
二つ目は・・・表紙の絵がめちゃめちゃグロテスクな顔なんですね。題名と作者と裏表紙の説明だけ読んで買っちゃったんです。もし、この絵を見ていたら怖くて買わなかったと思います。
おすすめできないポイントはこの2つだけで・・・内容は裏表紙に書いてあった通り「各紙で絶賛された、奇跡の衝撃作」だと思います。
中学生のシュウジは、優秀だったはずの兄が犯した犯罪をきっかけに苦難の道へと追い込まれていく。
犯罪者の弟として学校では孤立を深め、父は行方不明になり、母の生活も荒れ果てて・・・それはもう過酷すぎる運命なのです。
ひとり、ふるさとを出ていく。その途中にも地獄のような時を過ごし。。。
・・・家族や人が壊れていくさまがすさまじく描かれていて・・・もうホントにすさまじかったです。
って、ホントにわたしって語彙が足りません。(^^;
この頃家族内の凄惨な事件があふれていますよね。ニュースでは数日で過去の話になっていきますけど、たぶんそれぞれの分の壊れ方があり、再生しようとする営みがあるんだと思います。
読んでおくべきお話だったようにも思うけど、お正月は止めといた方がいいです。
最初に書いた2点がなければが5つなんですけど・・・    よかった~度=♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2007-01-06 17:27 | 本の話