カテゴリ:本の話( 34 )

「空中庭園」 角田光代:作 (文春文庫)

これも映画化された作品だそうですが、わたしが読んでみようと思ったきっかけはお花でした。
わたしが行ってたスクールの季刊誌で「文学と花の世界」っていう特集がありまして、そこで何人かの先生が本を題材にしてアレンジされていたのです。
その一つがこの「空中庭園」でした。
「空中庭園」って言葉の響きがわたしにはとってもきれいなものに聞こえるんですけど。。。
それをテーマにしたお花もとってもきれいなものでした。
でもでも、お話はその言葉のきれいな響きとは相反していて、なんか救われないような暗闇だった。
一見して仲睦まじい家族に見えるけど、それぞれが心の中に秘密・・・隠したいものを隠しながら役割を演じている・・・とういう家族の物語。
いったいこの人たちのホントの姿って何??っていうようないたたまれなさが読めば読むほど募ってくるような。。。
そんな暗ーーいお話だった。
でも文体はとっても軽くって、そのアンバランスが不気味。。。(^^;
わたしはもうチョッとさわやかな余韻の残るお話が好きかな?
でも解説の石田衣良さんによると、明るい角田さんと暗い角田さんを読み比べる醍醐味もあるそうな・・・しっとりとした希望のある新たな代表作もあるそうなので、そっちも方もぜひ読んでみたいなっと思うのでした。。。           よかった~度=♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2006-06-14 22:25 | 本の話

「東京タワー」 江國香織:作(新潮文庫)

映画になったり話題になったりしているのを横目にずーーっと文庫になるのを待って、やっと読み始めました。
わたしにとってはとっても現実味のない世界でしたけど、ここに出てくる青年たちにはどんどんイメージ膨らんでいきました。
でもこれまでのわたしの周りには見つけ出せないですけどね。
現実味のない世界だったけど、透くんと詩史さんの会話は短い言葉の中にすごくメッセージを感じて、心地よく感じられる空気感がありました。
いくつかじっくりかみしめたくなるフレーズもあって、例えば・・・
「私は私の人生が気に入ってるの。そんなに幸福ってわけじゃないけれど、でも、幸福かどうかはそう重要なことじゃないわ。」とか、
「誰も誰かを捨てることなんてできないわ。」とか、
「誰と暮らしていても、私は一緒に生きたい人と一緒に生きる。」とか。。。
でもでも、江國さんのお話ってふわーーっと終わっていくから、
えっ?えっ?終わるのーーっ?って感じで取り残されてしまうのがチョッとつらい。
なんとかしてほしいってわがまま言ってしまいそうになる。
                                      よかった~度=♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2006-06-11 17:38 | 本の話

「宿命」 東野圭吾:作 (講談社文庫)

東野圭吾さんの作品はこれまでにもいくつか読んだことがあって、いつもはまってました。(^^)
で、久々に読んでみようと物色してコレを選んだのですけど・・・
またまたヒットでした。
推理小説っていうジャンルになるんでしょうけど、犯人探しやそのトリックがメインで描かれているわけではないんですよね。
殺人事件があって、主人公が警察官で・・・っていかにも推理小説なんですけど、
犯人が誰かってことより、主人公とそれを取り巻く人たちの運命みたいなものにどんどん興味がひかれていきます。
だから犯人がわかることがこのお話の結末じゃないんですよね。
もちろん小説だからとっても特異な数奇な運命を背負った人たちばかりが登場してるんですけど、
こういうお話を読むたびにホントに人それぞれ、人の数と同じだけの人生があるんだろなって感じてしまいます。
で、わたしは基本的に泣ける話を好むんですが、実際にこのお話は泣きませんでしたけど、食べながらでも読み続けてしまうお話でした。     よかった~度=♪♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2006-06-09 21:34 | 本の話

「星々の舟」村山由佳:作(文春文庫)

本を読むのが好きで以前に作っていたフラワーレッスンを記録したホームページでも「読書室」ってページを作っていたのです。
でも仕事を辞めてからは何となく昼間っから本を読むのが後ろめたくて日の高いうちは本を読まないって決めてました。(^^;
でもその禁を破って・・・
破った理由は、そんな肩肘張るのは辞めようって最近思えてきたことと、昼間っから読まずにはおれない本に出会ったからかもしれないです。

前から村山由佳さんの本が大好きで・・・
わたしって一番好きな○○は?って聞かれても、例えば一番好きな花は?って聞かれてもなかなか一つに決めきれないんですよね。
でも一番好きな本は?って聞かれたら村山由佳さんの「君のためにできること」って答えようって決めてるんです。
つきつめて考えるとそれが一番なのかどうかまだまだ迷うところなんですけど・・・(^^;
とにかく一番好きな作家のグループの筆頭に村山由佳さんがいて、文庫が出ると速攻で買って読むことに決めてます。

春休みに沖縄から帰阪した友だちから「星々の舟」が文庫になってることを聞き早くゲットしたかったのですが、ようやく手にすることができて・・・
一気読みしてしまいました。
感動・・・っていうか感涙の嵐でした。。。

これは確か直木賞受賞作品でその時の村山さんのコメントでは、村山さんのお父さんが戦場体験者だということで戦争の話を聞いて育っていていつかそのことを本にしたいと思って・・・みたいなことだったと思うんです。
それを聞いた時からひたすら文庫になる日を待っていました。(^^;

読み始めると全然戦争話ではなくって(あれ?勘違いだったかな?)って思ってたんですが、最後の章になってあぁ、このことだったのか・・・って。
こういう大事なことを書いて残せるっていう小説家っていう才能を持った人ってホントにうらやましいって思いながら最後の方は涙タラタラ流しながら読んでました。
あとがきで「今、せっかく物書きという仕事をしていながら、あの戦争について――人間から有無をいわさず自由を奪い取っていくそれについて何も書こうとしないのは、これはもう、怠慢以外の何ものでもないんじゃないのか。」って書いておられて、
やっぱり村山さんのその感覚が好きなんだなぁって思いました。

でもこれは決して戦争小説でも反戦モノでもなく6つの章からなる一つの物語でした。
それぞれがいわゆるハッピーエンドじゃないお話でいながら、なんかかわいそうとかむなしいとかじゃなく前に向かっていけるお話でした。
途中から「星々の舟」っていうこのタイトルが納得・・・っていうかみんな一人ひとりが星々であって舟に乗って思い通りの進路にまっすぐ行けないけど漂って進むみたいな感じがしてきました。

とっても感動の涙の本です。     よかった~度=♪♪♪♪♪
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by kuroda-3 | 2006-06-01 22:20 | 本の話